心に残った言葉―教育長のひとこと

心に残った言葉

  2014年になり、多くの人と言葉との出会いがありました。

1 「未来開拓をみなさんに託す」 山海嘉之

  1月11日(土)、筑波大学開学40+101周年記念事業の一環として「山海嘉之教授、中高生と大いに語る」が附属中学校の育鳳館で開催されました。山海嘉之先生は、システム情報系教授・サイバニクス研究センター長、サイバーダイン株式会社CEOであり、ロボットスーツHALで世界的に著名な研究者です。集まったのは、筑波大学附属中学校、附属高等学校、附属坂戸高等学校、附属駒場中・高等学校、附属視覚特別支援学校、附属聴覚特別支援学校、附属桐が丘特別支援学校の中学生、高校生です。障害のある子どもも含めて多様で、多感な生徒たちが、山海教授の話を聞き、質問をし、討論しました。

  山海教授は生徒たちに「未来開拓型人材」になるように話され、その人材になるためには「夢をもつこと」「情熱をもつこと」そして「思いやりがあること」をあげられました。そして「未来の開拓を皆さんに託す」と言われたのです。ある高校生は「(未来を託されたなかに)自分も入っているってすごいことだよね、ただ、何かが好きなだけじゃダメで、何が自分にできるか考えないといけないな」とつぶやきました。ロボットスーツHALの開拓で、医療、介護の領域などで、画期的な貢献を続け、まさに未来の開拓の世界的リーダーである山海教授から、未来を託された中学生や高校生の感動が伝わってきます。


2 「変わるためには、学ばなければならない」工藤公康

  1月25日(土)、筑波大学の春日講堂において、筑波大学教員免許状更新講習シンポジウムで、「プロとしての生き方! - 学び続けることの意義 -」 と題して、プロ野球解説者の工藤公康氏と私の対談がありました。茨城県内外の多くの教員が集まりました。工藤氏は、プロ野球選手として、西武ライオンズ、ダイエーホークス(現在のソフトバンクホークス)、読売ジャイアンツ、横浜ベイスターズ(現在の横浜DeNAベイスターズ)で輝かしい活躍をされ、今は野球解説者として人気を博しています。そして今年の4月から、筑波大学大学院人間総合科学研究科の大学院生としてスポーツ医学を学ばれています。

  工藤氏は、「プロになってからが大切。教えてくれるのを待つのか、自分で変わろうとするのかで、その後が決まる」とご自身のプロ野球選手としての経験を振り返りながら話されました。そして工藤氏の生きる指針として、「変わるためには、学ばなければならない」と言われたのが印象的でした。人生のステージを進む過程で、状況が変わっていきます。その状況のなかで生き抜くために、自分も変わる必要があるのです。心理学では「学習」は「行動が変容すること」と定義されます。学び続けること・・・これは、スポーツ選手だけでなく、子どもと関わる私たち教員にもあてはまります。

 

3 「いつも未完成」 佐野一郎

  6月27日(金)・28日(土)・29日(日)、つくば市の筑波大学・大学会館で、ヤングアメリカンズの公演が開催されました。ヤングアメリカンズの3日間、参加者(今回は、小学生から大学生)は歌とダンスのレッスンを受け、最後にキャストと一緒にショーを披露します。筑波大学では、2013年6月、2014年3月にも開催されています。ヤングアメリカンズは、1962年ミルトン・C・アンダーソンによって設立された非営利活動団体であり、アウトリーチ(出張授業)で「音楽公演と教育」を行っています。17歳~25歳の若者たち約300名で構成され、オーディションで選ばれた40名のキャストがこの夏来日して日本のツアーに参加しました。ヤングアメリカンズは、秋のツアーでは、いわき市など被災地をまわります。また日本の他USツアー、UKツアー、ヨーロッパツアーを行っています。

  ヤングアメリカンズを日本に紹介し、主催しているのが、NPO法人「じぶん未来クラブ」であり、ツアーの新しいキャストを歓迎し、宿泊するホストファミリーを紹介します。ツアーの公演は、各地の地域サポーターやキッズサポーター(参加者のサポーター)とともに、作られます。キャストは参加者と出会い、歌とダンスを教えて、一緒にパフォーマンスを行います。キャストは、参加した子どもたちに、「教えて、やらせる」のではなく、「やってみせて、次に一緒にやる」のです。子どもたちにとって新しいチャレンジは、先輩であり、先生であるキャストと共に行うのです。参加者にとっても、キャストにとっても、共に学ぶプロセスです。

  じぶん未来クラブの代表である佐野一郎氏と話す機会が何度かありましたが、心に残ったのが佐野氏の「ヤングアメリカンズは、いつも未完成」という言葉です。未完成という言葉には、参加者はもちろん、キャストも、ボランティアも主催者も、新しい公演の度に、準備し、学ぶプロセスを経験するという意味があります。新しい出来事には、いつも驚きと失敗があるそうです。

 

  私たちは、さまざまな出来事にであいながら、未完成であることを味わいながら、学び続け、未来を開拓しているのです。

筑波大学附属学校教育局HP "教育長のひとこと"より >