本理論・提言では,①コーディネーション委員会の機能,②教師の心理教育的援助サービスに対する態度,③教師による心理教育的援助サービスから構成される「チーム学校尺度」を提案し,本尺度を用いた学校組織へのコンサルテーションのステップについて検討した。2020年に収集した新しいデータを用いて,3尺度について検証を行ったところ,家近・石隈(2011a, 2012)で開発された尺度と同様の因子構造であり,信頼性・妥当性が支持された。そしてチーム学校尺度を用いたシステムレベルの援助に関する実際のコーディネーションの実践から,実践モデルが示された。それはステップ 1:パートナーとしての協力関係作り,ステップ 2:問題の具体的な定義および目標の設定,ステップ 3:問題状況のアセスメント,ステップ 4:問題解決の方針と方略の選択,ステップ 5:方略の実践,評価,フォローアップの5つのステップからなる。とくにステップ3と4で,チーム学校尺度が使われる。さらにシステムレベルの援助モデルの構築のためには,チーム学校尺度を活用した実践研究を蓄積していく必要がある。
キーワード:チーム学校,コーディネーション委員会,システムレベルのコンサルテーション, システムレベルの援助